フルバランスアンプ (X_Under bar)

心地よい音を求めて

2019年02月

安全で災害に強い美しい「脱・電柱社会」

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国土交通省では、平成28年12月に施行された無電柱化の推進に関する法律に基づき、無電柱化の推進に関する施策の総合的、計画的かつ迅速な推進を図るため、法施行後初めての「無電柱化推進計画」を策定しました。
諸外国に負けないわが国本来の美しさを取り戻し、安全で災害にもしなやかに対応できる「脱・電柱社会」を目指します。
2018年度からの3年間で約1400kmの新たな無電柱化の着手。

国土交通省:無電柱化の推進

「無電柱化推進計画」の策定について


私の家の周りには、既に電柱は有りません。
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私はマンションなので「マイ電柱」欲しくても立てられませんと言うかお金も無いです。w

電柱に乗っている柱上変圧器から路上変圧器に変わりますので、呼び名が「マイ路上変圧器」とか「マイボックス」にかわりますね。ww

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ちょっと古い情報でした。

電源高調波 ・ ・ ・ 一般のノイズと違う?
高調波と言うとオーディオ・アンプの2次歪みや3次の歪みを思い浮かべると思います。
ここでは電源、一般家庭のACコンセント(100V、200V)の商用電源の高調波です。
例えば50Hzを基本周波数とした場合ですと、3次高調波が150Hz、5次高調波が250Hzになります。
ここで言う電源高調波は、この50Hz(60Hz)の基本周波数に高調波(3次・5次・7次 ・ ・ ・ ・)を含んでいる商用電源についてです。
一般的には「電源高調波電流」と言っています。
が、この電流の影響で電圧波形も変形するので、電源高調波の方が良いかと思います。

      電源高調波電流を説明した絵です。↓↓
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     【日本電機工業会の電源高調波電流のパンフレットからの抜粋しました】


電源高調波とよく間違う現象に「ノイズ」が有ります。
ノイズは商用電源周波数と同期していませんが、電源高調波は商用電源周波数と同期しています
ここが「ノイズ」と「電源高調波」の大きな違いです。

分かり易くするため表に纏めてみました。↓↓
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 でも広義には、電源高調波もノイズと思いますが? w

では、電源高調波(電流)はどの様に発生するのかです。
身近な電気製品では、インバータエアコン、冷蔵庫、洗濯機、調光器、テレビやPC等々で商用電源(交流)を直流電圧に変換する回路である整流回路で発生します。現在有る殆どの電気製品ですね。
コンデンサインプット型整流回路や電力変換回路(力率改善回路)でパルス状の電流波形が発生してこれが電源高調波となります。
寒い冬はコタツや電気毛布にお世話に成っていますが、これらはトライアックやサイリスタで位相を制御して温度を調節していますので、ここからも電源高調波が発生しています。

そして商用電源は 「発電所」 ⇔ 「送電線」 ⇔ 「変電所」 ⇔ 「柱上トランス(マイトランスも含む)」 ⇔ 「家庭のACコンセット」 ⇔ 「アンプ」に繋がっていますが、発電所から繋がっている電源ラインはインピーダンスを持っていますので、その電源ラインに電源高調波電流が流れるとインピーダンスの影響で電圧降下が発生して、電源電圧波形が高調波を含んだ波形となってしまいます。

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この電源高調波電流はかなり前から問題視され機器での対策(家電・汎用品高調波抑制対策ガイドライン 1994年頃?) がされて低くなって来ていると思います。
過去に電源高調波電流の影響で装置や機器が故障したりエラーを起こしたりしていました。
※現在ガイドラインが変わっているかも知れません。

上記の表にも有りますが40~50倍くらいまでが電源高調波となります。3kHz以下ですね。
では、50倍以上の電源高調波は発生しないのか?
50倍以上になりますと電源高調波の振る舞いが高周波と同じに様になりますので高周波ノイズとして考えます。実際には長い電力線・送電線で減衰すると思います。
国内の電力系統では、電源高調波の5次が一番多く含んでいるそうです。
※私が現役の時の話しなので情報が古いかも知れません。
また、偶数次の高調波は理論的に発生しません。理由は電源が正弦波の上下対称なので偶数次は相殺されます。

参考としてとある場所のある時間帯の電源高調波のデータです。
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これを見ますと、29次、25次、5次の順で多く発生しています。
そして、理論通り偶数の高調波は見当たりませんね。また、高調波は時間帯でも変化します。朝の早い時間帯や深夜などは発生が少ないと思います。
真夏の深夜は如何でしょうか?

電源高調波の発生側ではなく受け側として考えた場合、電源高調波の阻止方法(対策方法)は電源回路へのフィルターの追加が一番対応し易いと思われますが、電源高調波の5次~29次(250Hz~1.8kHz)まで減衰量の高いフィルターはなかなか有りませんね。


最後に
機器(製品)側の電源入力ラインでも対策されていますのでそれほど心配する必要は無いと思います。
電源高調波や高周波ノイズは、その設置場所や時間帯で変化しますので、全てが同じような結果や対策にはなりません。また、高周波ノイズに関してはフィルター及びノイズ対策用トランスのアースのとり方や設置方法でかなり効果が違ってきます。

アンプの直流(DC)電源に三端子レギュレータが多く使われていると思います。
電源はアンプの源となりますのでクリーンな電源が良い音を生み出すのだと思います。

アンプ回路も色々と有りますが、ここでは身近なオペアンプで話しを進めて行きたいと思います。
オペアンプのデータシートには電源に含まれているリップルを排除する力を電源電圧変動除去比(PSRR)として表しています。
言い方を変えると電源に混入したノイズを除去する能力と置き換えた方が分かり易いかと思います。
※電源電圧変動除去比:PSRR(Power Supply Rejection Ratio)

下に例としてOPアンプの電源電圧変動除去比のグラフを上げます。
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  ※ 幾つかのオペアンプのデータシートから抜粋しています。
    ※ 数値が大きいほどリップルを除去してくれます。

この様にOPアンプはある程度電源からのノイズをカット(除去)してくれます。
簡単な電源でもそこそこ問題無く動いてくれると言うことです。
少し気になるのは周波数が高くなるほど除去比が悪くなっています。
※ OPアンプの設定増幅度や動作供給電圧で電源電圧変動除去比は変わります。

このへんは高性能な安定化電源ICを使えば直ぐに改善も出来ますが、ここでは回路構成がシンプルな回路を使うのも一つの方法です。

そこで簡単な回路で電源を綺麗にしてくれるのが「リップル・フィルター」です。
下の図の様な回路になります。

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皆さんご存じの回路です。
この回路はメーカー製のアンプによく使われています。

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   ※MJ誌さんよりお借りいたしました。

実際の回路をシュミレーションしてみましょう。
回路にダミー抵抗を入れてシュミレーションしています。

【シュミレーション結果】
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      縦軸が除去量(dB)で横軸が周波数(Hz)です。
      数値が高いほど除去されています。
      少し見辛いですが拡大して見て下さい。

見て戴くと分かるのですが、案外と高い周波数で除去効果が期待出来ます。
これでピンと来た方もおられると思いますが、OPアンプの除去効果とこの回路の除去効果を使えば広い範囲で良好となります。


ただ欠点も有ります。
エミッターの出力電流量によって電圧が変動してしまいます。
対策としては、エミッターに大きめのコンデンサを入れて変動分を吸収させる方法。
それと出力にダミー抵抗を入れてダミー電流を少し流してあげると変動が少なくなります。

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次回も電源について書きたいと思います。

これは二つの理由があります。
一つは高周波的な問題、もう一つは製造上の問題です。
基板のパターンを直角(90度)に曲げた場合、曲げた分部のパターン幅が若干広く成ります。この広く成った部分でインピーダンスが変化して反射が起こりデジタル回路の場合はリンギングやノイズが生じます。
反射:出力された信号がインピーダンスのミスマッチングにより出力側に戻ってしまう現象で出力信号と戻ってきた信号が重複合成されてしまうので出力波形が変形してしまう。
そのため90度の曲げを止めて45度にする事によりパターン幅の変化を少なくします。
特に高い周波数を扱っている場合は、曲げ部分にRをつけてパターンを描きます。
Rをつければパターン幅はほぼ一定になります。
※ オーディオ等の低周波や高周波でも低い周波数でしたら45度曲げで大丈夫です。

   説明図です↓↓
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もう一つは基板製造で、基板をエッチグ液(銅箔の溶解液)に浸して基板の余分な銅箔を溶かすのですが、その際90度の部分の内側に溶解液が溜まり易くなり90度の内側が綺麗にエッチング出来ない場合があります。そのため角度を甘くして溶解液が溜まらないようにします。

以前、MJ誌(無線と実験)に直角パターンと45度パターンのノイズに関する比較記事が掲載されたことがありましたが、45度曲げの方がノイズが少なかったようでした。

基板の回路パターンを設計する上でよく言われたのがベタパターンやパターン幅の10円玉ルールです。

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このルールを守らないと米国の安全規格(UL規格)に適合しないので安全面でNGと言うことでした。
ナゼ米国の安全規格なのに日本の10円玉が出てくるのか私には?でした。
規格への適合確認方法はこんな感じでした。
基板の上に10円玉を載せて10円玉がスッポリ入る銅箔面(ベタアース等)が有るとNGと成ります。
10円玉より大きい銅箔面(穴や部品が無い銅箔面)はダメ。
10円玉より大きいベタパターンが有る場合は、そのベタパターンの部分にスリットやビア(VIA)、または細い格子状パターンを入れて対応します。
ビア:上側の銅箔と下側の銅箔を接続させる穴

下の図は基板の銅箔面にスリットを入れてUL対応した基板です。

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   ※ 某オーディオメーカのマニュアルからお借りいたしました。

UL規格では基板の銅箔面が連続してφ25.4mm以上の箇所があるとUL最大導体幅違反となります。
このφ25.4mmの大きさが10円玉とほぼ同じと言うことです。
ではナゼφ25.4mm以上のパターンが有っては安全上ダメなのか説明できる人があまりいません。
先輩に聞いた話では、φ25.4mm以上有ると基板材(ガラエポ)から出るガス?で銅箔が剥がれる場合が有るそうです。剥がれた銅箔が他の回路とショートする可能性が有るので安全上宜しく無いとの事でした。
今の基板は、そんなに簡単に銅箔が剥離するとは思えないのですが?

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