リニア電源を大まかに分けると三タイプのリニア電源があります。
最初に一般的な①普通の電源でダーリントン接続されたトランジスタの出力がエミッター出力となっているタイプです。
次が、最近多く見かける②LDOタイプです。これはトランジスタの出力がコレクター出力となっています。
LDOはロー・ドロップ・アウト電圧で、供給電圧を有効に使い安定化時の電圧ロスを少なくできるリニア電源です。
※ドロップアウト電圧とは、電圧を安定にコントロールできる最低電圧で、この電圧を確保しないと電源としての性能が出せません。
最後に③準LDO電源です。
これは一般的な電源とLDO電源の中間的な存在の電源です。
以下に特徴を纏めてみました。
【 ① 普通のリニア電源 】
普通のリニア電源と言うのがよいのか分かりませんが、昔から有るリニア電源です。ww

・電源のトランジスタの出力がエミッター出力ですので出力インピーダンスが低い
・電源に帰還を掛けたとき安定し易い
・出力にコンデンサが無くても安定動作する
・ドロップアウト電圧が1.2V~2.2Vと高い(大きい)ので5Vから3.3Vの電源を作るのが辛い
・ドロップアウト電圧分が熱になるので電源のパワートランジスタが熱くなり易い(電力損失が大きい)
【 ② LDOリニア電源 】

・電源のトランジスタの出力がコレクター出力ですので出力インピーダンスが高い
※実際には負帰還を掛けてインピーダンスを下げています
・ドロップアウト電圧が0.2V~0.5Vとかなり低いので5Vから3.3Vの電源が問題無く作れる
・ドロップアウト電圧が低いので電源のパワートランジスタが熱くなり難い(電力損失が少ない)
※取り出し電流によっては熱くなります
・出力にコンデンサは必ず必要
・出力コンデンサにESR(直列抵抗)の小さいセラコンを使うと異常発振し易い
※LDOレギュレータICには、セラコンの使用を前提に設計されている物もありますので仕様書を確認しましょう。
・もし異常発振が確認された場合は、出力コンデンサに電解コンやタンタルコンを混ぜるかESR(直列抵抗)をコントロールされたセラコンに交換すると発振が止まります。

【 ③ 準LDOリニア電源 】

・特徴は①普通のリニア電源と同じですが、ダーリントン回路の初段がPNPトランジスタになっているので、このトランジスタ1個分のVbe電圧が無くなりドロップアウト電圧0.6V~1.6Vと低くなります。
・終段のトランジスタの出力がエミッター出力ですので出力インピーダンスは低い
普通の電源とLDO電源の良いとこ取りの電源です。ww
現在基板への組込み型電源ICはLDOリニア電源が断然多いです。
これは供給電圧の低さと電源効率を重視しているためだと思います。
LDOリニア電源で注意して戴きたいのは異常発振し易いことです。
あと、無帰還(NON-NFB)のリニア電源もありますね。
上記の3種類は、全て負帰還を掛けています。
それに対して負帰還(NFB)を掛けないリニア電源もあります。

・無帰還(NON-NFB)の場合は、①の普通のリニア電源の負帰還を外した形が多いと思います。
・帰還を掛けていない分、出力インピーダンスは高くなりますし、負荷変動に対して出力電圧も変動してしまいます。
・無帰還リニア電源の使用に関しては、負荷変動の無いA級アンプ等には向いていますが、動作がB級のアンプやデジタル回路では、負荷変動による出力電圧を安定させるため電源の出力コンデンサの容量を大きくし、ブリーダ抵抗を出力側に追加すればある程度電圧は安定すると思います。
デジタル回路に求める電源は負荷変動に対する負荷過渡応答の良い電源でアナログ回路は低ノイズ電源です。