フルバランスアンプ (X_Under bar)

心地よい音を求めて

2019年09月

何時ものようにだいぶ遅れてのスタートです。
既に基板を頒布されている方もおられます。

前回のES9038PROのQuadではDAC基板(DAI+DAC)とI/V変換基板の2枚構成でしたが作り難かったようでした。
その点を踏まえて今回は、DAI基板とDAC基板、I/V基板の3枚構成にしようかと思っています。

■ AK4499 DACの基本構成案 ■
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現在、相棒のリセットさんと調整中です。

ただ、この内容で進めると何処かのDAC基板と同じに成るので、そこは考えています。
同じような物を企画しても面白くないので追加機能も検討中です。


こちらのヘッドフォンアンプも進めないといけない。

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2ヵ月ぶりに再開しようとしたが電源トランスが見つからない。

作業は何時も物探しから始まる。www


最近のOPアンプは、残留ノイズや歪みが桁違いに良くなっています。
例として最近発売されたOPアンプ OPA1656の主な仕様を抜粋してみました。

■OPA1656の仕様内容
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仕様で気になる部分にアンダーラインを入れています。
先ずオープン・ループ・ゲインが150dBもあります。
少し前のOPアンプのオープン・ループ・ゲインは100dB~120dBくらいですので、30dBほどゲインが高くなっています。
そして出力がレール・ツー・レールのコレクタ出力です。(最近のOPアンプはレール・ツー・レールが多くなっています)
レール・ツー・レールは、電源電圧を有効に使えて低動作電圧使用で効果があります。
その代わりにトレードオフなんでしょうが、コレクタ出力なので出力インピーダンスが高いです。
この高い出力インピーダンスを帰還を使ってインピーダンスを下げています。
参考としてエミッタ出力(左側)とコレクタ出力(右側)の特性図を載せます。
負帰還を掛けない時の出力インピーダンスです。

■エミッタ出力とコレクタ出力の比較
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比較すると分かり易いと思います。
左側がエミッター出力のINA1620で、右側がコレクタ出力のOPA1612です。
なおOPA1656のデーターシートには開ループの出力インピーダンスが掲載されていませんでしたので、OPA1612のデーターを載せております。
右側のコレクタ出力(OPA1612)は出力インピーダンスがうねっています。
また左側のエミッター出力では、抵抗性の特性となっていて1MHzまでフラットです。
これに負帰還を掛けると出力インピーダンスが下がって平らになります。
歪みに関しても歪み低減回路も採用していると思いますが負帰還で下げています。
負帰還 凄い!

少し前の(だいぶ前の?)OPアンプは、今より回路がシンプルでエミッタ出力でしたので、出力インピーダンスが抵抗性で全帯域にわたってフラットでした。
それに対して現在のOPアンプは、抵抗性に誘導性や容量性を含む複雑な特性となっています。
その背景には、お客様(製品メーカー)の要望である高利得、高速、低ノイズ、低オフセット、低歪、高出力、低入力電流、低消費電力、低動作電圧、高リップル除去率、高同相除去率、低価格、の要望に答えた結果のOPアンプです。


そして昔からある高音質なOPアンプが製造中止となっています。トホホ (OPA604、OPA2604等)

帰還は薬と同じで使い過ぎると副作用がありますので適度に使いましょう。
一番ダメな使い方は、特性の悪いアンプに高帰還を掛けて特性を良くしようとするアンプです。


AK4499の電流出力型のDACは、I/V変換回路が肝となる。
前回のES9038PROのQuadでは、I/V変換回路で苦労した。
AK4499も同じような構成にしないと100%のパフォーマンスを発揮出来ないと考えます。

先ず、高S/Nや超低歪みを狙う場合は、データーシートの推奨回路に使われているように高性能OPアンプを使うしかないと思うし、一番無難な方法でもある。

AK4499は1チャンネルあたり片側フルスケールで約36mAの電流を吐き出し、電位オフセットを掛けたとしてもその半分の18mAが常時OPアンプに流れることになり、OPアンプとしては辛い。
また、I/V変換回路を単純化させるためAK4499の4出力をそのまま束ねる方法ができるか?
データーシートから推測するとこの方法は推奨されていないような。
そうなるとDA1のI/V変換基板と同じになってしまう。

■DA1用のI/V変換基板
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このI/V変換基板の音質はかなり良い実証済みだ。

高S/Nや超低歪みを狙わないのなら、抵抗I/V変換やトランスI/V変換でも良いと思う。
トランスI/Vは直流電流をトランスに流すので帯磁が少し心配、帯磁対応されたトランスなら問題はないねぇ。

先ずはES9038PRO(Quad使用)のDA1と同じ方向で進めよう。


先週、実家の垣根の枝刈りで指を切ってしまい病院で三針縫った。
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機械を使っての作業では気を抜いてはいけませんね。
気をつけましょうねぇ。

半導体アンプの大半が帰還型アンプを採用しています。
真空管アンプでは無帰還型アンプが多いのでしょうか?
過去に出力段NO-NFBアンプ(出力段無帰還型アンプ)が流行った時期がありました。
私も窪田さん(窪田式)のアンプを何台か自作しました。
終段(一番最後のパワーMOS-FET)を無帰還にしたアンプでしたが、DCオフセットに悩まされました。
結局DCオフセットで再調整が多く、NO-NFBアンプは途中で止めてしまいました。

無帰還(無帰還型)アンプの定義と言うか、どのような回路が無帰還型アンプか分かり辛いですよねぇ。
世間一般には(確かではないです)、無帰還(無帰還型)アンプとは、出力から入力に帰還(NFB)ループで電圧帰還されていないアンプだそうです。
先の終段だけの無帰還は、無帰還型アンプとは言わないそうです。(窪田式 出力段NO-NFBアンプ)

■下記の回路が帰還と無帰還アンプです。
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この絵だとアンプ全体に掛ける帰還(NFB)ループなので「オーバーオール帰還」とでも言うのでしょうか。
但しトランジスタのエミッタに入れるエミッタ抵抗での電流帰還は、局部帰還(局部電流帰還)なのでこれは帰還に含めないそうです。

■エミッタ抵抗を入れた局部電流帰還
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電流帰還もちゃんとした帰還だと思いますが?

アンプの出力から入力に帰還(NFB)ループで電圧帰還されなければ無帰還(無帰還型)アンプです。
この無帰還(無帰還型)アンプの定義と言うか、取決めは考えるところがあります。

無帰還(無帰還型)アンプが音か良いとか悪いとかは別の話として帰還型アンプについてです。
帰還を掛けると何が良くなるのか。(ここでは電圧帰還と電流帰還を含めた話しです)
・歪みが減る
・ノイズが減る(S/N改善)
・出力インピーダンスが下がる
・周波数特性が良くなる
・増幅率(利得)を一定に保つことが出来る
・温度や素子の影響を受け難くなる
良いこと尽くめww

良いところを書いたので帰還の悪いところ
・位相補償回路が必要
・回路設計が悪いと正帰還となり異常発振する
・増幅率(利得)が減る
・多量の帰還を掛けるとTMI歪みが発生(マッティ・オタラ氏、懐かしい)

ところでオペアンプ(OPアンプ)に「電圧帰還型アンプ」と「電流帰還型アンプ」があります。
ここのところが混乱し易いです。エミッタ抵抗での局部帰還(局部電流帰還)とは違います。
一般のオペアンプは電圧帰還型アンプが多いですが、広帯域で高スルーレートのオペアンプに電流帰還型アンプがあります。

■電圧帰還型アンプ
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■電流帰還型アンプ
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電流帰還型アンプは、アンプ出力から反転入力端子(-端子)に帰還を掛けてその誤差電流に応じた信号を出力します。
オーバーオールで帰還を掛けていますが電流帰還?なので、上記の決め事からすると無帰還型アンプとなってしまいますが違うでしょうねぇ?? (;^_^

■電流帰還型アンプの動作図
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なお電流帰還型はマイナス入力の入力インピーダンスが低いので電圧帰還型OPアンプのところに電流帰還型OPアンプを使うことは出来ません。また、電流帰還型OPアンプの入力は差動アンプでは無いので、如何しても温度によるDCドリフトが生じ易いです。高周波特性は素晴らしいです。それと周波数の管理がし易い(ゲインを変えても周波数帯域が変らない)のも特徴です。
アキュフェーズさんのパワーアンプは電流帰還型アンプですね。

続きます


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