フルバランスアンプ (X_Under bar)

心地よい音を求めて

2020年07月

真空管アンプでは珍しいことではありませんが、半導体で無帰還のアンプを作るのには、「温度での安定性」、「SP端子のオフセット電圧」などの問題を解決しないといけない点が多くあります。
話しは、無帰還アンプではなく負帰還(NFB)アンプです。
無帰還に拘る方もおられますが、これを使わない手はないと思います。
では、帰還を掛けた場合(使った場合)は、何処の部分までその恩恵を受けるのか下の図に示しました。
20200728_01
図は、一般的なOPアンプで回路を構成しています。
点線で囲っている部分について説明してゆきます。

入力側のコンデンサ(C1)や抵抗(R1、R2)のグループと、出力側のコンデンサ(C2)や抵抗(R5、R6)のグループは、負帰還(NFB)ループの外側ですね。
この部分は帰還の恩恵を受けません。
そして赤色の点線、NFB量を決めるNFB抵抗(R3、R4)です。
実はこれも帰還の恩恵を受けません。

従って、これらの部品は、歪みやノイズに対して良い部品を使う必要があると言うことです。
特にNFB量を決定するNFB抵抗(R3、R4)は、良質な物を使う必要があります。

OPアンプの入力には、プラス入力端子(+)、とマイナス入力端子(-)と二つあります。
その入力端子の選び方により入力信号と出力信号の極性を変えることができます。
例えば、プラス入力端子(+)に信号を入れると入力信号の極性と出力信号の極性が同じになり、これを「非反転アンプ」言います。また、マイナス入力端子(-)に信号を入れると入力信号に対して出力信号の極性が反転する「反転アンプ」となります。
■非反転アンプと反転アンプ
20200718_01

これらは用途により使い分けていると思います。
ところで非反転アンプと反転アンプは特性が同じでしょうか?
オーディオ回路で使う周波数帯200kHzくらいなら非反転アンプも反転アンプも同じような特性が出ると思います。
しかし、これが周波数の高い1MHzや10MHzとなると話は変ってきます。
実は増幅率を決める抵抗の入り方で周波数特性が変ってしまいます。
以前、ここでも出てきましたバーチャル ショート(仮想ショート)に関係してきています。

イマジナリ ショートとバーチャル ショート:

バーチャル ショートとは、
OPアンプで負帰還をかけた場合、プラス入力(+)端子とマイナス入力(-)端子との端子間に電位差が無い状態を言います。例えば、片方の端子がGNDに落ちていれば、もう一つの端子もGNDに落ちているのと同じになります。

ここで上の図を見て下さい。
非反転アンプのマイナス端子は、抵抗(R2)でGNDに繋がっています。また、反転アンプのプラス端子はそのままGNDに繋がっています。
ここでバーチャル ショートの考えが出てきます。
そうです、非反転アンプのマイナス入力は抵抗(R2)の抵抗値で入力容量(寄生容量、浮遊容量)が影響してしまいますが、反転アンプのプラス入力はそのままGNDですので、入力容量(寄生容量、浮遊容量)がバーチャル ショートにより無視(無くなる)できます。
この入力容量(寄生容量、浮遊容量)が高周波特性を悪化させます。

従って、非反転アンプと反転アンプでは、高周波特性の良いのは「反転アンプ」となります。
でも、ノイズに関しては、「非反転アンプ」の方が少ないです。

< 2020.07.19 追記 >
Chaosさんのコメントで、OPアンプの入力インピーダンスの事を書くのを忘れていました。
上の図で説明します。
非反転型アンプの入力インピーダンスは、アンプの自身の入力インピーダンスと同じに成りますが、反転型アンプは帰還抵抗 R1 が入力インピーダンスに成ります。
反転型アンプは、如何しても入力インピーダンスが低く成ってしまいます。
なので、入力インピーダンスを高く設定したいのなら非反転アンプです。

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