フルバランスアンプ (X_Under bar)

心地よい音を求めて

Category: シュミレーション

参考になる完全差動アンプの回路は無いかと色々と探してみました。

調べると、EL5176、 EL5178、EL5378と言うOPアンプを発見しました。
このアンプ、正確にはDifferential Twisted-Pair Driverと言うアンプで、参考になる等価回路が有りました。
20200520_01
Vocmエラーアンプの出力を、上側のトランジスタのエミッターに負帰還として戻しています。
この方法も有りますね。


次が、LT1994の簡略回路です。
20200520_02
あまり参考になりませんが、下側に有る「CM ADJUST」回路が気になります。


あと、こんな回路も探しました。
DENON PRA-2000RGのInverted ΣBalance回路です。
20200520_03
右側のOPアンプのところが歪み除去回路?だと思います。
OPアンプの部分は、完全差動アンプのVocmエラーアンプとは違う使い方です。
同相負帰還にしていませんね。
このプリアンプの発売が1990年頃ですのでかなり前の回路ですね。
この回路も参考になります。


前回の課題でありましたディスクリート型のVocmエラーアンプの改良版も考えました。
前回は、2石の差動アンプでしたので如何してもアンプのゲインが足らなくOPアンプ型のVocmエラーアンプとの性能差がでてしまいました。
そこで差動アンプの負荷を定電流負荷にして、ゲインをアップしました。
下の回路図となります。
20200520_04
前回は差動アンプのソースにFETの定電流回路を使っていましたが、今回は二段目のダイオードで構成さているバイアス電圧の部分から電圧を貰いトランジスタの定電流回路を採用しました。
こちらの方がシンプルかなと思っています。

問題の OPアンプ型のVocmエラーアンプとの歪み特性の比較が下の図となります。
20200520_05
赤い線がOPアンプ型のVocmエラーアンプで、緑の線が今回のディスクリート型のVocmエラーアンプとなります。
だいぶ、OPアンプ型に近づいたと思います。
偶数次の歪みが少し多いかなとは思いますが、これ以上部品を増やしたくないのでこれでOKとします。
前回も書きましたが、課題もあります。
定電流回路の電流値で、オフセット電圧も動いてしまう問題です。
実際に回路を組んでの確認が必要ですね。



前回、5月4日:

Vocmエラーアンプの出力を反転出力側に繋げていました。
修正した回路と波形が図1となります。
20200510_01
前回と多少回路が違いますが、出力のオフセット電圧が上手く取れませんでしたのでコレクター側に抵抗(1KΩ)を追加しています。
そして検証のため、C18のコンデンサを10uFと大きくしてシュミレーションしてみました。
異常発振はしていませんね。

図2が出力の歪み特性です。
20200510_02
二倍の高調波が確認出来ますがその他は少ないです。
ただ、全体のノイズレベルが100uVと少し高いように思います。

一段の差動アンプではゲインが足らないような感じがするので、そこでこの部分をOPアンプに変えてみた回路が図3となります。
20200510_03
アンプのゲインは、60dBに設定しています。

図4がシュミレーションした出力の歪み特性です。
20200510_04
今度は二倍の高調波が無くなり奇数倍の高調波が出てきましたが歪みとしては小さくなっています。
そして全体のノイズレベルが1uV以下とかなり改善されています。
このOPアンプのゲインを色々変えてみると60dB以上が良い感じです。

このVocmエラーアンプは、出力のコモンモード電圧の設定だけでなく歪みやノイズも下げる効果もありますね。
完全差動アンプは、初段への帰還と2段目への帰還の二重の帰還を掛けている感じです。
Vocmエラーアンプは、歪みとノイズ除去回路にもなっています。

図5は、トランジスタ2石の差動アンプとOPアンプの歪み特性を比べました。
赤色が2石差動アンプで緑色がOPアンプです。
20200510_05

図6が1MHzまでのノイズレベルです。
20200510_06
赤色が2石差動アンプで緑色がOPアンプです。

次にこのVocmエラーアンプを使ってDCサーボアンプのような使い方が出来ないかと回路を変えてみたのが図7になります。
20200510_07
非反転型のDCサーボです。

そして図8がシュミレーションした出力の歪み特性です。
20200510_08
最初にシュミレーションした2石の差動アンプ(図2)と同じような歪み特性になってしまいました。
このVocmエラーアンプで、DCサーボのような事が出来るのか?

低い周波数の周波数特性を見ましょう。
図9がこのアンプの周波数特性です。
20200510_09
DCサーボが上手く働いていれば、低い周波数でゲイン(利得)が低下して位相が進むはずです。
低い周波数では、ゲイン(利得)および位相が一定です。(図9の最低周波数は0.1Hzを表示しています。)

詳しく見るために低い周波数のスパンを少し広げてシュミレーションしたのが図10です。
20200510_10
0.01Hzから見ていますが、DCサーボが掛かって無いようです。

比較のために他のアンプでDCサーボの掛かったアンプの周波数特性と位相特性が次の図11です。
20200510_11
図11は他のアンプのDCサーボの掛かった周波数特性と位相特性です。
低い周波数のゲイン(利得)が下がり、低い周波数の位相が進んでいます。

完全差動アンプは、二重の負帰還を掛けているのであえてDCサーボを掛ける必要が無いのかと思います。
そのへんを踏まえて、最終的な回路はこんな感じにしました。
20200510_12_
実際に回路を組んでの検証は必要と思います。
あと、ディスクリート型のVocmエラーアンプももう少し改善したいと思います。


約10年前にTI社の完全差動アンプ(Fully-Differential Amplifiers)の回路を真似てアンプを自作しましたが上手く動きませんでした。
今回、新しい回路でもう一度挑戦してみたいと思います。

完全差動アンプの簡略図です。
20200504_01


その時のブログがこちらです。
2010/09/28

TI社の資料:

資料では、完全差動アンプ(Fully-Differential Amplifiers)を統合完全差動アンプとも言っています。

先ず資料から、統合完全差動アンプを使う理由とは、
1. 外部ノイズへの耐性の増加
2. 任意の電圧レール用の出力電圧スイングの増加
3. 低電圧システムにとって理想的であること
4. ICをより簡単に利用できる
5. 偶数次高調波の減少

1番と5番は平衡アンプ全般の話しです。
3番と4番はこのICの事です。
2番、電圧レールが設定できるので、例えばADC(アナログ・デジタル・コンバータ)の入力アンプに使うとADCの単電源に対する電圧レールの設定が出来ます。言い方を変えると供給電圧を有効に使える様にオフセット電圧が容易に設定できます。
もしかしたら次のことが4番になるのかも知れません。
従来のアンプと違って一つのアンプでHOT(+)側とCOLD(-)側が同時にアンプできる。
普通の平衡アンプでは、アンプが二つ必要でした。
このアンプの欠点ですが、HOT(+)側もCOLD(-)側も反転アンプですので入力インピーダンスが高く設定出来ません。ある程度高く出来ますがS/Nが悪くなります。

と言うことですが、TI社のICを使えば問題無いのですが、過去にこの回路を真似て組んでみましたが異常発振に悩まされました。
今回、もう一度回路を考えてみようかと思います。

今回の回路です。
20200504_02
この回路は、AK4499のIV変換アンプに採用予定の回路を完全差動にしました。
一段目がFETの差動で二段目がフォルテッドカスコード、終段がダーリントン接続です。
そして一番右側にある差動の回路が、簡単なVocmエラーアンプ(Q18、Q19)となります。

この回路の特徴であるVocmエラーアンプは、HOT(+)側とCOLD(-)側の出力をVocmエラーアンプ(Q18、Q19)で受けて基準電圧(Q19のベース)と比較してその差分を二段目の負荷トランジスタQ4、Q5のベースに戻しています。負帰還を掛けています。今回、基準電圧となる電圧レールは0V(GND)としています。

色々と確認して行く中で一つ気に成った点があります。
エラーアンプにC18 のコンデンサーがぶら下がっています。
このコンデンサーの容量を増やすと異常発振してしまいます。

その容量を変えてシュミレーションしたのが下の図になります。
20200504_03
上のシュミレーション図がC18 0.1pFで容量がほぼゼロの状態です。綺麗な波形です。
そして下のシュミレーション図がC18の容量を増加して行き、ちょうど38pFのところで異常発振が発生しました。

もう少し検討が必要ですね。
続きます。


ダイヤモンド・バッファ・アンプの入力をトランジスターからFETに変更してシュミレーションしてみました。
 
イメージ 1
 
イメージ 2
 
イメージ 3
 
入力をFETにする理由は、入力側のカップリングコンデンサが外せるのと、入力インピーダンスを高く出来るところだと思います。
周波数特性は、ピークが増えて周波数特性も若干悪くなっていますが、低周波で使う上では特に問題ないレベルだと思います。
 
歪みは、FETの方が少ないようです。

だいぶ、時間が空きましたが・・・。
前回は、バッファ・アンプ 1 として、ダイヤモンド・バッファ・アンプの基本回路をシュミレーションしました。
ダイヤモンド・バッファ・アンプの基本型は、電源変動に弱いと説明しました。そこで、電源の変動を抑制するために、一段目のエミッターに定電流回路を追加したのが、次の回路になります。この定電流回路により電源の変動を抑えることができます。
 
イメージ 1
 
次の写真が、周波数特性になりますが、-3dBで約75MHzまで伸びています。かなり良い特性です。 ※ グラフの赤色は位相特性です。(追記)
 
イメージ 2
 
ここで、前回のダイヤモンド・バッファ回路と今回のダイヤモンド・バッファ定電流回路付きの歪み特性比べて見ます。※歪みは、2倍(2KHz)と3倍(3KHz)が出てます。(追記)
 
イメージ 3
 
定電流回路付きの方が、歪み特性も良いですね。

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